わずか手のひら程度の幅に、約百本の歯が挽かれた小さな櫛。 江戸時代前期に持病の頭痛に悩んでいた村娘のお六さんが、治癒を祈って御嶽山に願掛けをしたところ、 ミネバリで櫛を作り髪をとかすようお告げを受けて実際に行ったところ治ったという伝説が起源なのです。 その後、300年の伝統があるのです。 木祖村誌によると、明治初期にかけて多い時には年間で180万枚も出荷していて、 現在では薮原地区で作られていて、実用品の櫛として、また長野県の伝統工芸品として愛され続けているのです。 主にミネバリという硬くて粘りがある樹木を材料にして、歯挽き鋸を使った手挽きでの技法で作っているのです。 梳き櫛、解かし櫛、挿櫛、結櫛など、種類がいっぱいあって、それぞれ形や大きさ、歯のつけ方などによって色々な名前が付いているのです。 お六櫛は、静電気が起こりにくく優しい梳き心地で、贈り物やお土産にも最適な品なのです。 また、モナコ公国・カロリーヌ公女にご献上されたりしている伝統工芸品なのです。
享保の頃、木曽に美人で評判の高い十八歳になる「お六」という娘がいた。 しかしいつも頭痛になやまされ、悲しい日々が続いていた。 頭痛さえなければと思案に余った彼女は、ある日夜も明けないうちに家を出て御嶽山に登り二十一日間の山籠り祈願をした。 満願の日に、御嶽大権現の老翁が現れ「汝の難病はこの御嶽山の霊地よりミネバリの木を伐りて櫛を作り髪を梳けばたちまち治るべし」と告げた。 お六は早速、神様のお告げどおりの櫛を作り、朝夕に髪を梳いたところ、不思議に頭痛が全快した。 以来お六は同じ櫛を作り、同病の人々にと神秘な霊験を語り伝え、多くの旅人にミネバリの櫛をすすめた。 いつしか、これが「お六櫛」と呼ばれるようになり全国にその名を広めた。 今もミネバリのお六櫛は製造され続け、その技法は昭和四十八年長野県の「無形文化財」に選択され、 昭和五十七年「長野県の伝統的工芸品」に指定されて、信州木曽の特産品としてその名声を保持している。
江戸時代前期にはじまったと言われているのです。 木曽の蘭、妻籠(現南木曽町)にかけて木櫛生産が行われていたといい、その後、奈良井(現塩尻市奈良井)、藪原(現木祖村)へと広がり、 明治以降は、藪原のみとなり、終戦頃までは300軒程が生産に関係していたのです。
「お六櫛」には実は種類がたくさんあるのです。 お六櫛は用途と機能から大きく4種類に分けられているのです。 さらにそれぞれに形や大きさ、歯のつけ方などの違いで細かく分けられて名前が付けられているのです。
髪の垢、フケを取ったり、髪の汚れやホコリを取り除いて梳くのに使うのです。 頭髪をクリーニングするための櫛という感じなのです。 歯の間隔は、どれも0.5mm以下と細かくて、毛髪の1本1本を梳く事が出来るようになっていて、毛髪の表面を一定方向へ美しく整えたり、 毛髪本来のツヤを出す効果があるのです。 戦後、シャンプーの普及と洗髪の習慣化によって生産量が激減してしまったのです。 櫛のサイズは3寸~4寸4分程度で、歯数は1寸あたり29~42本なのです。
結っていた髪をほどいて、毛髪を揃えるのに用いるやや歯の粗い櫛なのです。 現在の日常生活では、スタイリングするための櫛で、実は一般的に使用されている櫛のほとんどがこの解かし櫛なのです。 櫛のサイズは5~6寸で、櫛挽職人さんは1寸あたりの櫛歯の数から以下の六種類【梳歯(15本/寸)相細(14本)相歯(13本)相太(12本)挿荒(11本)荒歯(10本)】に分けているのです。
髪を結ってから、髪の乱れを整えたり、髪に挿して飾りに使っていたので「飾り櫛」とも呼ばれているのです。 アクセサリー的な要素が強いのです。梳き櫛に次いで目が細かく、歯数は1寸あたり15~25本程度なのです。
日本髪、チョンマゲなど、髪を結うために用いられた櫛なのです。 髪結師さんや床屋さんなどの理髪専門職のために供給されていたのです。 現在でも一部はお相撲さんや時代劇等に関わる職種で伝統的に使用されているのです。
極細歯から荒歯まで沢山の種類があるのです。 細かい歯で髪の毛一本一本を梳かすことによって艶出しや潤い効果も高まるのです。 ただ髪の毛のクセが強い方で髪質が固めの方は荒歯からがお勧めなのです。 荒歯で髪を挽いた後、細歯で挽くという使い方もあるのです。 お気に入りの櫛を見つける参考にしてくださいませなのです。
櫛の材料はミネバリ、ツゲ材などで作られているのです。 歯の隙間や根元に段々と汚れやホコリが溜まってくるので時々歯ブラシや毛足の短い豚毛のブラシなどで汚れをかきだして取り除いてくださいなのです。 特に細い歯の櫛はこまめにホコリを取り除いて欲しいのです。 木製品なので、水洗いはしてはいけないのです。時々椿油か植物油を塗ってくださいなのです。 そして、強い衝撃には弱いので優しく扱ってくださいなのです。
お六櫛の材料として使われるミネバリの木は、1ミリ幹が太くなるのに3年かかるという非常に堅い木なのです。 学名で斧折樺(オノオレカンバ)といい、粘りがあり、比重が重いために水に沈むほど緻密なので櫛に最適なのです。 自然林の中でも数が少なくて、成長も遅いために植林もほとんどされなく貴重な木の一つとされているのです。 櫛の材料となる櫛木は、2~3年乾燥させた物を使っているのです。
原木を板目に製材する作業なのです。
板上にしたものを、使う寸法・形状に切断したり、加工する作業なのです。
自然乾燥するのです。
カンナで既定の厚みと幅に削る作業なのです。
定規に合わせて縦横の長さを決めるのです。
挽き込む境界線の筋をつける作業なのです。
歯挽きノコギリで櫛の板の表側に歯を挽き込む作業なのです。
トクサを貼った三角の用具で歯先や歯間に丸みを付けるために擦り込みをする作業なのです。 ※トクサは、シダ植物門トクサ科トクサ属の植物なのです。 茎は煮て乾燥させたものを紙ヤスリのようにして研磨に使うのです。 紙ヤスリが一般的な今でもつげぐしの歯や木製品の作業工程などで磨き仕上げる工程で使われているのです。
歯挽き工程の挽き残りを歯元まで挽き込み、不揃いを直す作業なのです。
裏側から挽き残しの部分を表側の歯と同じ深さにする作業なのです。
櫛形の四ツ角を丸める作業なのです。
トクサ掛け、貝掛け(ボウズ貝で櫛の表面を磨いて艶を出す)などをして磨く作業なのです。
油ひきなどをして仕上げるのです。
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